こんにちは。
大田区のうみのいろ歯科矢口渡です。

「もっと早く歯医者に行っていれば…」と思った時には、すでに手遅れになっているケースが少なくありません。むし歯や歯周病を放置したことで、何本も歯を抜かなくてはならなくなったという方は決して珍しくなく、実際にそのような患者様からは「こんなことなら、もっと早く歯医者に行っていればよかった」と後悔の声を聞くことがあります。私たちの歯は、失ってしまえば二度と自然には戻ってきません。
今回は、歯を失う前に知っておいていただきたい「歯のメンテナンス」の大切さについて、解説します。

■歯を失う主な原因は「歯周病」

日本人が歯を失う最も大きな原因は、実はむし歯ではなく歯周病です。歯周病は、歯ぐきの炎症から始まり、次第に歯を支える骨を溶かしていく病気です。しかもその進行はゆっくりで、痛みなどの自覚症状がほとんどないまま進行することが多いため、気づいたときにはすでに歯を支える土台が崩れてしまっていることもあります。

歯を抜かなければならないほど進行してしまった場合、差し歯や入れ歯、インプラントなどの治療が必要になります。しかし、どんなに優れた人工の歯でも、「自分の歯」に勝るものはありません。

■一度失った歯は元には戻らない

歯を失うと、見た目だけでなく食事や発音、生活の質（QOL）にも大きな影響を及ぼします。例えば、

● 好きなものが噛めない
● 発音しにくく、人との会話が億劫になる
● 顎の骨が痩せて顔の印象が変わる
● 食事が偏り、健康に悪影響が出る

といったことが起こる可能性があります。これらの変化は、歯が1本抜けただけでも起こり、複数本の歯を失った場合にはその影響はさらに大きくなるでしょう。だからこそ、「失ってから後悔する」のではなく、「失う前に守る」ことが重要です。

■メンテナンスで歯を守ることができる

定期的なメンテナンスは、歯を守るための最も効果的な方法の一つです。歯科医院でのメンテナンスでは、以下のようなことを行います。

● 歯石やプラーク（歯垢）の徹底除去
自分では取り切れない汚れを、専用の器具できれいにします。
● 歯ぐきや骨の状態を定期的にチェック
歯周病の進行状況を確認し、必要なケアを行います。
● むし歯の早期発見・早期治療
痛みが出る前に見つけることで、簡単な処置で済みます。
● 正しいブラッシングの指導
ご自身の磨き方の癖をチェックし、効果的な方法をお伝えします。

定期的にメンテナンスを受けている方は、歯を失うリスクが大幅に下がるということが、さまざまな研究でも証明されています。

■症状がないから健康、ではありません

歯科治療を避ける理由の一つとして、「痛みがないから大丈夫」と思い込んでしまうことがあります。しかし、歯周病や初期のむし歯は症状が出にくい病気です。知らず知らずのうちに進行し、気づいたときには大がかりな治療が必要になることがほとんどで、痛みや腫れなどの「わかりやすい症状」が出たときには、すでに進行している可能性が高いのです。したがって、症状がなくても定期的にチェックを受けることが、歯を守る第一歩です。

■どのくらいの頻度で通えばいいの？

メンテナンスの頻度は、お口の中の状態によって異なりますが、3〜4か月に1回が目安とされています。歯周病が進行している方やリスクが高い方は、1〜2か月ごとのチェックが必要になることもあります。自分ではなかなか管理しきれないからこそ、かかりつけの歯科医院との二人三脚で守っていくことが大切です。

■まとめ

歯を失ってから「もっと早く行動していれば」と思っても、残念ながら元に戻すことはできません。しかし、今ならまだ間に合うかもしれません。歯を守るために必要なのは、「痛くなってから」ではなく、「何もないうちから」行動することです。
定期的な歯科メンテナンスを受け、未来の自分へ投資しましょう。